広島県の「人口流出4年連続ワースト1」についての考察
- C3
- 4月25日
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更新日:5月1日

※本記事には、広島県の現状に対する厳しい意見や批判的な視点が含まれています。現職の知事や県政関係者の方々にとっては不快に感じられる可能性もありますが、現状を率直に見つめ、一人ひとりの考えるきっかけとなることを目的としています。あらかじめご了承のうえ、お読みいただければ幸いです。
若者が去る広島
広島県は、就職や進学を理由に県外へ転出する若者が後を絶ちません。特に20代の流出が顕著で、転出超過のうち6割を占めています。
その背景には、県内で希望する職種や業種、または大学の学部が見つからないといった「選択肢の少なさ」があります。
若年層にとって魅力的な就職先が少なく、都市部との所得格差も若者の流出を後押ししており、「地元に残っても生活が豊かになる見通しがない」という現実が、人口減少の根本原因となっています。
広島の商圏問題
政令指定都市である広島市ですが、その商圏は狭く、実質的には広島・鳥取・島根に留まっています。
山口は福岡、岡山や四国は大阪の商圏に含まれるため、広島の都市機能が周辺地域に及ぼす影響は限定的であり、県外からの経済的流入(いわゆる「外貨」)が見込めず、人口減少に伴う税収減がよりダイレクトに響いてくることを示唆しています。
ふるさと納税による財政的打撃
さらに、令和5年度に広島県が受け入れたふるさと納税は約63億円。一方、令和6年度に控除される金額は128億円にのぼり、結果、地方税の収入は約65億円の減少。これは財政の健全性を大きく揺るがす数値だと言わざるを得ません。
「人口が多いことありき」の都市計画と組織運営の限界
広島という土地は、「商圏が狭く県民が多くいる」を前提に、県政や企業活動が設計されてきたのではないでしょうか。
しかし、その前提が崩れつつある今、住民税や所得税の減少による社会保障制度の崩壊、そして地域経済そのものの機能不全が目前に迫っていると考えられます。
狭い商圏のまま人口が減少し続けるという現実に、行政・企業・教育機関などあらゆる組織が頭を抱えているのではないでしょうか。
ひろしま飛ばし
広島に住んでいれば誰もが一度は耳にしたことがあるであろう「ひろしま飛ばし」。
コンサートや全国ツアー、イベントなどの開催地から、広島が外されるという現象を指し、もはや説明不要とも言えるほど、県民にとっては共通認識となっています。
この問題は今に始まったことではなく、私が高校生だった30年前にはすでに話題になっていました。
つまり、少なくとも30年前の時点で、広島の商圏の狭さや外貨を得る力の弱さは明らかでありながら、「人口が多いこと」を前提に、そうした課題を見て見ぬふりをしてきたことが、現在に至るまで何も変わらなかった理由であり、この30年間、県政が構造的課題に真摯に向き合ってこなかったという証左とも言えるのではないでしょうか。
人口流出という「静かな危機」と県政の責任
現知事は過去に「リゾート地やアミューズメント施設で県の魅力を高める」との発言があり、今年度の予算では雇用対策よりも建設事業に多くの資金が投じられていることからも、商圏の狭さを打開する方向へ舵を切っているように思えます。
確かに長期的に見れば商圏強化のために必要な施策かもしれませんが、本来、県政が果たすべき最も重要な役割は、「広島に住めば明日は今日より良くなる」と県民が実感することができることだと思っています。
現状、それが達成されているとは思えず、人口流出が続くという「静かな危機」こそが、明確な意識がなくとも「広島に税金を払うのは馬鹿らしい」と県民に思わせてきた政治の積み重ねの結果に他ならないのではないでしょうか。
「おしい!広島」は、広島県の観光PRキャッチフレーズで、自虐的に「魅力が十分に知られていない」と訴えるものですが、今や「県民から諦められている広島」「県民から見捨てられている広島」が実態ではないでしょうか。
とはいえ、そうした政治を許容してきたのもまた、私たち主権者です。
選ばれた者が責任を問われるべきであるのと同じように、「選ぶ」という行為に関与する私たちにもまた、その選択の結果に対する責任があることを、今一度自覚する必要があるのではないでしょうか。
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